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第4回大阪シンポ(事例報告・大阪市)

〔事例報告〕  大阪市の経営改革

 大阪市健康福祉局健康推進部介護予防担当課長代理 田井 義人氏

 ただ今ご紹介いただきました、大阪市で星乃さんたちと一緒にインフォーマルな形態で改革をめざして意見交換をやっている会のメンバである田井です。お手元の資料には公式な組織でないと書いてありますが、単に集まっているだけではなくオフサイトミーティングという名前をつけて頑張っています。また別名「智のネットワーク」とも呼んでいます。

 本日参加されているかどうか分かりませんが、本市は、マスコミさんからの圧力で、主要な改革部署が全体の音頭をとって他部署に改革をやらせている、あるいはやらされていたりするのですけれど、私としては職員の立場から、やらされている側のほうから変わろうとする気持ちになっていけばいいなと思っています。

 いろいろな部局の職員で構成され、結局総数36名ぐらいの会でございます。私と星乃さんが年配の世代です。でも偉そうに、こういったところからしていかなあかんやろとか行政から変えろってメンバに言ってるわけじゃないんです。まず市政をいっしょに変えていこうとか言って、協働して改革を推進していこうとしています。働くにあたっても、そういうところを念頭にしてまいりました。
 
 ちょっと私、2年ほど大学院の方で公共施策を勉強させていただいたのですが、その結果、やっと偉い人の言うこともわかってきたと思います。お配りした資料の表では、白黒で分かりにくいですが、改革の歴史です。カラーでないので、ちょっとわかりにくいんですけども、この表の左側が世の中に公表されている平成16年11月から平成19年6月までの大阪市の改革内容でして、それを受けて、じゃあ私たち職員は、何をすればいいのか、あるいはしてきたのかというのが右側です。左側で、3つの赤い内容が改革のポイント事例です。
 一番初めの赤い項目、私も結婚して経験しましたのが、結婚祝い金や制服等の福利厚生問題の発覚。マスコミには「厚遇」と言われてしまいました。マスコミの力を借りて改革は大阪市の中枢まで踏み込んでいくのかなとも思いました。そこから、えらいこっちゃ何とかせなあかんとなりまして、市長自身もどうなるかわからない。
 市長自身もリーダーシップを発揮できなくなって一旦やめられてしまうことになりました。市長としても本当の意味での改革の真意を市民に問うということになりました。その後、市長の再選を受けてマニフェストなどどんどん作る、表の中で星印つけさせてもらっている内容が重要なのですが、その中で1つすいません後から記載したのでお配りした資料には載ってませんが、平成18年4月に「公益通報制度」というのができました。
 それともう1つに9月に「要望等情報提供記録制度」というものができました。この2つが大きい。これらが我々のマニュフェストの中で非常に力強い制度になっていきます。タレコミ、口コミの制度化です。
この制度化によって、無理難題の押し付けや隠し事が激減しました。組織内不正や外部からの不正要求等が、この制度で情報公開される。そのサポート役が以前は、大阪市の訴訟役のフォローをされていたT弁護士さんです。彼は外部から不正を正してきたが、今度は自浄努力は支援するということで引き受けられたのです。

 一応OSMの発足についても表の右に記載しています。星乃さんの職員への声かけもあって、行政情報の智恵のネットワークということで30数名の仲間ができました。この集まりでは非常に気持ちがラクになるんです。職制とか実績とか全然関係なく喋れますから。非常に気がよく合い楽しい会です。
 表にそって述べますと左側の制度に対して、右側の取り組みが具体的に成功していかないかん。でも、まだまだ今やってる最中です。日々、現場職場では大変なものです。
 スライドにある、市民からの信頼の喪失とはなにか?ということは私がちょっと疑問に思ってることなんですけども。実感としては、市民の信頼を喪失したことはない。マスコミが有識者のアナウンスを過大した劇場化の結果と思う。

 先日、東京の産経新聞主催の経団連の事例発表に、担当主幹(改革本部のU教授)の話では、改革で人員を6600名減らし、予算も115550千円を減らしたというような表現があったのですけども、本当であろうか。現場では、疑心暗鬼です。経常収支比率が未だに100を切っていない状況です。
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 表に記載しました「職員の意欲の低下」については、マスコミで言われているように「厚遇」の喪失の結果と言われて言われてもしゃーないと思います。スライドの3つの課題をどうしようかということで、ご存知の人もいるかわからないけれども、いろいろ対策を実施していきました。
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 当初、市政改革を推進するにあたって、さまざまなワーキンググループが創られ、具体策を検討し、司令塔になったのが、当時の有名な助役である大平助役です。この方が当初全部、動かしてきたというのが本音です。右の現状では、大平氏の求心力は、なくなったものの、市政改革本部の有名人であるこの人とこの人、お互いに力を組んでいこうという形になっています。
基本的には、市長直轄型です。市長が他局の人にそのまま改革を実施して行けと。この図にあるようなサポート体制で、改革推進会議、市政改革本部等が情報管理と提供および議論し、この市長からのミッションの青いラインを進め、ダイレクトに実施に繋げるため、その周囲でこれらの組織が絡んでキッチリとフォローアップする。そんな体制です。特に、この下の赤い部分が重要です。ここの運営委員が、市政改革本部委員の命を受けて実際区役所等に行って、区長や管理職に「具体的に改革をどうすんの」って聞かれるのです。実施不能やだめなら何度も聞かれる。これ、タスクフォースっていう組織体制ですけども、ここのN氏と言うのが、大学教授であり、方針実現の大きな力となっています。厳しい指導があります。後で述べますが、指導パターンがA,B,C,Dとあります。 

 本市の改革のコンセプトは3つあります。マネジメント改革、コンプライアンス改革そしてガバナンス改革です。でも重要なのはマネジメント改革でこれさえキッチリ実施できれば、あとの2つは自動的に実現される。

 これら3つの改革コンセプトを具体的な実施内容にブレイクダウンした図がこのスライドです。右下に87のユニットに分けましたが、さらに集約して現在は67の事業ユニットになっています。
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 この事業ユニットを事業分析の手法を用いて、改革運営委員と各部署との関係でタイプA,B,C,Dに分けて実施する概念図です。つまり、部署が独自で改革案を創り実施するというのではなく、市政改革本部から派遣された改革運営委員という行政改革に強い大学教授等と一緒に改革を進める形なのです。それを先ほど述べ忘れましたが、劇場型として外部からマスコミが監視しているという構造なのです。事業分析の流れは、基本的にPDCA(PLAN-DO-CHECK-ACTION)の管理サイクルです。
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 局長・区長マニフェストです。各部署のトップが何を意識しているか、取りまとめたものです。市民や外部に事業説明する基本となる内容です。
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 事業分析の具体的な手法です。民間事業者の改革方式のSWOT分析やマーケティング、情報公開を取り入れています。
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 事業分析の構成です。基本どおりの現状の課題、仮説と方向性、今後の取り組みといった構成です。
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これらの改革内容をどのように現場に伝えているかの情報誌が市政改革ニュースレターであり、当初はペーパもありましたが、今は職員ポータル画面から参照可能です。
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 事業分析からこれからの開発トピックである北ヤードです。普通の開発と異なり、中心のBゾーンにナレッジキャピタルゾーンとして阪大や松下の研究機関をまず誘致します。そこからAとBへのゾーン展開を謀ります。
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 職員ポータルの画面が3枚続きます。まず初期画面です。下の新着情報が日々タイムリーに更新されます。全部で20項目しか表示されません。各部局いっせいに配信されますから、見逃すと知らなかったことになります。IT化の推進には、画面を見ないと損をするといったコンセプトと画面の更新の頻度と内容が是非必要と思います。
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 これは、他の自治体ではアウトソーシングされる司書業務ですが、運営委員の1人のN准教授のもとで司書さんが、図書館研究した結果、まず職員への情報検索プロとしての活路から将来、市民への一般図書検索のノウハウ蓄積とサービス向上を目指したものです。
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 これは、大阪府さんが既に実施済みの内部管理業務である総務事務を集約したセンター化した取り組みです。
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 最終的には、私は、この3段階ステップで改革は実施されていくべきものと考えます。日経新聞の「進化する自治体経営」から抜粋したものです。破綻回避のための減量政策、役所組織のモティベーション向上そして住民・議会の意識改革でしょう。その段階それぞれにPDCAがあり、それをささえるのが個々の職員の喪ティベーションだと思います。
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 役所内にコンビニが8月にできます。これぐらい柔軟な対応が可能となった大阪市です。淀屋橋支店でなく大阪市役所支店、都島支店でなく総合医療センター支店等、ネーミングライツにも関係するような名称となっています。
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 ご清聴ありがとうございました。以上です。(ちなみに私は行革担当では、ありません!!)





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